
受賞作品発表
虚構新聞×ノベルアップ+ ショートショートコンテストは、760作品のご応募をいただきました。
特別選考員とノベルアップ+運営事務局による厳正なる選考の結果、最優秀賞1作品、選考員特別賞2作品、優秀賞1作品、入賞4作品がの計8作品が受賞となりました。
加えて、受賞とはなりませんでしたが3作品を佳作として紹介いたします。
総評
この度はたくさんのご投稿いただき、ありがとうございました。そして受賞者のみなさま、おめでとうございます。
760作の応募作の中から最終選考に残った作品はどれも甲乙つけがたいものばかりでした。入選作を決めるため、多くの良作を落選にせざるを得ない苦しい決断の連続でしたが、今回は特にエンタメ性、時代精神を取り込んだ諷刺性を重視して選考に当たりました。
「嘘」をテーマとした今回の受賞作はいずれも最後に読者をあっと言わせる巧みな構成で、社主としても今後記事を執筆していく上で大きな刺激となりました。
今回のコンテストをきっかけに、ショートショートの楽しさがノベルアッププラスの中で今後ますます広がっていくことを楽しみにしています。
虚構新聞社社主として改めてお礼申し上げます。この度はありがとうございました。
「虚構新聞」社主UK
あらゆるジャンルのショートショートが集まり、想像以上のハイレベルさに驚きました。 私にはない斬新な切り口や展開、世界観を持った才能に出会えたことを、とても感謝しています。 このような機会をいただきありがとうございました。参加された皆様、どうか書き続けてください。 想像し続けてください。またどこかで皆様の作品に出会えることを楽しみにしています
吉高 寿男
「虚構新聞×ノベルアップ+」ショートショートコンテストに多数のご応募ありがとうございました。
テーマは「嘘」ということで、シンプルながら奥深い題材だったと思います。
当然あらゆるジャンルの作品が集まった訳ですが、短いながらアイディアを凝らした作品が多く集まり、読んでいてとても楽しかったです。
各受賞作の個別の評価は各コメントに譲りますが、どの作品も面白いので読んでいただけると幸いです。
それではみなさん、また次の企画でお会いしましょう。
ノベルアップ+運営事務局
最優秀賞
選評
「AIが仕事を奪う」と言われる昨今、画像生成AIという、昨年大きく話題になったテーマを織り込んだ作品。 近未来の日本の姿を丁寧に描いたことで、権力による狡猾な支配のあり方について考え込ませる説得力がありました。 「飼育員」というタイトルも秀逸。「カラス痘」「デジタル省」といった会話の端々からうかがわせる細かい設定も、作中世界の広がりを感じさせて良かったです。 (「虚構新聞」社主UK)
星先生を想起するような世界観とオチだけでなく、全体の完成度も非常に高く、総合点で頭一つ抜けていた印象です。シリアスとユーモアの融合具合も良く、作者のセンスに唸りました。 (吉高 寿男)
最近何かと話題になりがちなAIの話を上手く取り入れており、SFとしても「嘘」をテーマとした作品としても、とても面白かったです。 皮肉が効きまくった、ちょっとダークなオチも大変優れていました。 全体の完成度や、ウィットの効いた文章にも隙が無く、文句無しの最優秀賞となりました。 (ノベルアップ+運営事務局)
選考員特別賞
選評
「正直者であろうとするピノキオ」と「何とかしてピノキオに嘘をつかせようとするゼペットじいさん」という原作「ピノキオ」の構図を転倒させたパロディ作品。
よく知られた童話を下敷きにしたことで、冒頭から作中世界に入りやすかったです。制限された文字数の中で、このアプローチは正解だと思います。「性格の逆転」というアイデア勝負だけに終わらず、「クレタ島の嘘つき」と絡めた後半の斜め上な展開、そしてさらにそこから読み手の予想を裏切るラスト1行の脱力感が素晴らしかったです。ディストピア的、暗い読後感の多い作品が多い中、パロディやメタを取り入れた笑えるコメディである点も好感が持てました。
(「虚構新聞」社主UK)
選評
今作を読ませてもらい、人間の残酷さをユーモアたっぷりに描く手法こそ、ショートショートの王道のような気がしました。タイトルやネーミングにセンスを感じ、作者の別作品も読んでみたくなりました。 (吉高 寿男)
優秀賞
選評
「色」にまつわる「嘘」のお話。導入から結末まで、ストーリーも描写も、テーマの扱い方も含め非常に完成度の高い作品です。「嘘」というテーマのもと、こういった角度から「嘘」を使ってくる作品が投稿されるとはあまり思っていなかったのでいい意味で驚かされました。
祖父と「私」のいい物語というだけで終わらせず、祖父の日記で明かされる真実は祖父の心情を想像すればある種残酷でさえあり、しかし空の青さも知らぬまま孫娘に語った彼の「嘘」はきっと多くの読者の心に残ると思います。
(ノベルアップ+運営事務局)
入賞
選評
大学で同じサークル仲間の呉と武藤は共に舞子に恋心を抱いていた。しかし呉は武藤との登山中、滑落して行方不明になり、無事に下山した武藤も、その後右手を自分で切断して病院に搬送される。武藤はなぜ右手を切断したのか。物語は失われた武藤の右手を中心にして展開します。
呉・武藤・舞子、三者三様の視点から語られる「隠されてきた真実」はいずれも残酷で、読み手を冷たく突き放す読後感が何とも言えず素晴らしかったです。大正レトロな舞台設定と、作中に漂うランタン照明のような薄暗さは江戸川乱歩の怪奇譚(あえてホラーとは言いません)を彷彿とさせて文学的。いっそ歴史的仮名遣いや旧字体にまで踏み込めば、さらに素晴らしく仕上がったかもしれません。
(「虚構新聞」社主UK)
選評
人間の不気味さを表現した、とても気色の悪い作品(褒め言葉です)です。一種のあるあるネタであり、読み進めながら自然と数人の具体的な人物が浮かんできました。 ラスト、どう落とすのかが鍵となるわけですが……。もっとリアルな方向に落としたパターンも読んでみたかったです。 (吉高 寿男)
選評
SF作品も優れた作品が多く、最優秀賞の「飼育員」と並んで評価が高い作品でした。 とても綺麗に纏まっていて良かったです。 ロボットが病に伏した教授の主人に最後に吐く嘘とは? というある意味、典型的なお話ではあるのですが、優しく儚い雰囲気が良かったです。 (ノベルアップ+運営事務局)
選評
死後の世界での天国への扉をめぐるゲームというストーリーも独特ですが、まさかの結末に唸らされました。選考の過程で「読者をだますのが上手い」「面白い」などストーリーの構成で評価の高かった作品です。もう少しテキストを練られるようになると、より魅力的な作品になると思います。 (ノベルアップ+運営事務局)
佳作
コンテスト概要
ノベルアップ+3周年特別企画‼
「実際にありそうで実は存在しない」ニュースを掲載するWebサイト「虚構新聞」とタイアップ!
ショートショート作品オンリーの投稿コンテストを開催します。
募集するテーマは「嘘」。
最大文字数は原稿用紙5枚分・2,000文字。限られた文字数の中で、驚きの展開や秀逸なオチを組み込んでください。
少ない文字数でどれだけ情景を伝えられるか、不必要な情報を削ぐことでどれだけ読者に鋭く刺さる物語にできるのか。
創作者としての腕を試す絶好の場ともいえます。
今回は特別選考員として、ショートショート短編集への寄稿実績を複数持つ「虚構新聞」社主のUK氏、そしてショートショートコンテスト受賞をきっかけに文筆活動を本格化させた脚本家・吉高寿男氏の2名が選考に参加!
ショートショート作家をうならせる作品のご応募、お待ちしております。
「虚構新聞」とは?
一見するとただのニュース記事、しかしよくよく読んでみると……?
「虚構新聞」は「実際にありそうで実は存在しない」ネタをニュースとして発信する個人運営のWebメディア。
時にブラックユーモアとして、時に風刺的な要素を交えた記事のカテゴリーは多岐にわたっており、実際にあったと想像すると思わず笑ってしまうような記事を提供しているサイトです。
今回のコンテストのインスピレーションにも役立つと思いますので、ぜひ一度のぞいてみてください。
特別選考員紹介

「虚構新聞」社主UK
数多くの話題の元となってきた「虚構新聞」の記事を長きにわたり一人で手掛ける。
ショートショートアンソロジー『5分後に意外な結末ex チョコレート色のビターエンド』、『5分後に意外な結末ex アクアマリンからあふれる涙』(学研プラス社)にも寄稿。
UK氏からのコメント
ノベルアップ+をご覧の皆様、はじめまして。虚構世界の事実を配信するニュースサイト「虚構新聞」の社主UKと申します。この度3周年特別企画ショートショートコンテストの審査員を務めることとなりました。
今回のコンテストでは、本紙にちなんでテーマを「嘘」とさせていただきました。大きな嘘から小さな嘘まで、ついていい嘘、悪い嘘――。世の中にはいろんな嘘がありますが、そもそも小説自体、嘘のかたまりではないですか。
そんな小説という嘘の中で果たしてどんな嘘がつけるのか。そしてショートショートの醍醐味・あっと驚く意外な結末。
短いからこそ書きやすく、そして短いがゆえに難しくもあるこのジャンル。一体どんな嘘で驚かせ、楽しませてもらえるのか。皆様の力作を読めるのを楽しみにしています!

吉高 寿男
文芸社主催のショートショートコンテストで大賞を受賞し、作家として活動を始める。自ら執筆したショートショートを原作としたテレビドラマにて脚本家デビュー。
代表作にテレビ朝日「刑事7人」「ハイスクールヒーローズ」、フジテレビ「サザエさん」「ドラゴンボール超」、NHK「忍たま乱太郎」、Netflix「日本沈没2020」、内田英治監督作品「列島制覇」など。
吉高氏からのコメント
ツカミとオチ。これまで様々なフォーマットで様々なジャンルの作品を書かせてもらったが、最も大事にしているのは、この二つだ。更に言えば、これはなにも執筆だけに限ったことではない。会話でも同じことを意識している。上手くいくかいかないかは別として。
そんな考えの根底には、ショートショートに心を動かされた経験がある。鮮やかに読書を瞬殺するテクニック、特にツカミとオチが見事な作品には、悔しさを通り越して惚れたものだ。
短い作品は書きやすいかもしれない。しかし、短い中で誰かの心を突き動かすことは、長編より難しい。
今回のコンテストで、どんな閃きと出会うことができるのか、楽しみで仕方ない。
そんな私は時折考えることがある、短くて太い人生を歩みたいと。そう、まるで秀逸なショートショートのような……。
応募要項
応募要項を見る
募集テーマ
「嘘」をテーマにした短編小説作品。
応募条件・エントリー方法
応募条件
- 500文字以上、2,000文字以下の小説(話数不問、締切り時点で「完結済」のもの)
- 作品種別:「短編」を選択してください。
- ジャンル:小説作品であればジャンル不問。
- 「詩/短歌」「エッセイ/評論/コラム」「ブログ/活動報告」「ノベプラ掲載作品紹介」「二次創作」ジャンルでの参加は出来ません。
- 新作である必要はありません。既存投稿作品、他サイトで掲載している作品での応募も可能。
- 同一作者による複数応募も可能。
エントリー方法
- 応募受付開始とともに発表される公式タグを設定してください。
- 作品の設定の「公式タグ」で、「SSコン「嘘」」タグを設定してください。
お願い
- 選考結果発表まで、選考対象に残っている作品はタグを外さないようにお願いします。途中でタグを外しますと、選考外になってしまうこともあり得ますので、あらかじめご了承ください。
応募資格
プロ・アマ・年齢不問。
選考方法
特別選考員とノベルアップ+運営事務局が作品内容、テーマとの親和性をもって選定。
表彰
最優秀賞(1作品を予定)
- 賞金:30,000円分のAmazonギフトカード
選考員特別賞(2作品を予定)
- 賞金:20,000円分のAmazonギフトカード
優秀賞
- 賞金:10,000円分のAmazonギフトカード
入賞(本数未定)
- 賞金:5,000円分のAmazonギフトカード
佳作
- 賞品:ノベルアップ+ノベルティグッズ
コンテストスケジュール
選考状況は都度サイトにてお知らせいたします。
応募受付開始 | 2022年8月15日(月)12:00:00 |
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応募受付終了 | 2022年10月14日(金)23:59:59 |
結果発表 | 2023年1月下旬 |
- 応募作品数により、日程は変更となる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
その他条件
- 複数投稿も可能です。タグは応募作品ごとに設定してください。
- 作品が商業未契約の状態で、作品の著作権が明確に投稿者本人に帰属するものであることが必須です。
- 作品内容に権利侵害などの問題を生じ、第三者に損害を与えた場合は、すべて応募者様ご本人の責任とさせていただきます。
- 他の公募企画・コンテストとの重複応募も可能です。
- 賞品お受取後の交換、返却などは受け付けできません。
- 選考方法に関してのお問い合わせにはお答えできかねます。あらかじめご了承ください。