異世界転生モノの〝世界観構図〟を逆手に取った異色作! 世界の平和のために開かれるオークション! 出展物はまさかの転生者?! 登場人物たちは曲者ばかり!

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 異世界転生/異世界転移、このジャンルの作品にはある不変の論理がある。それが『こちら側と向こう側の論理』である。こちら側の現実世界と、向こう側の転生後の世界、この二つの世界が様々な形で関わり合うことでこのジャンルは成り立っている。  この種の作品の多くは転生する本人に物語のフォーカスがあたっている。転生することで、そして転生した後どうなるか? それを追うことで物語は前へと進む。それが一般的なスタイルだ。  だがこの作品は違う。フォーカスを当てるスポットが、転生する本人ではなく、転生者が現れた異世界側にあるからだ。  転生者は別世界から何かしらをもたらす。  技術、知識、物資、文明の利器、多くの異世界転生ものはそれらによって主人公が運命を切り開き未来を勝ち得る筋書きになっている。  しかしこの作品では視点が逆転する。  別世界から価値あるものがもたらされる。しかしそれは利益と幸せだけをもたらすわけではない。価値あるものだから意味あるものだから〝取り合いになる〟  それは知恵と欲望と願望を支えにして、所属と国家と社会を営んでいるものならどんな世界でも当たり前にあるからだ。  この物語はそこにスポットを当てたのだ。  世界の均衡を守るため転生者の扱いを国家同士の取り決めで頑なに守った。その世界に現れた転生者を公平なルールのもとオークションでその交渉権を得る。  そして転生者は引き取り先を得て居場所を見つける。しかしそれが幸せへとつながる道だとは限らない。  牧歌的なファンタジー世界のビジュアルイメージを伴いながらも、極めて人間的な欲望のドラマが渦巻いている。  世界の安寧を目指した者たちが見守る世界は果たしてどこへたどり着くのか? 想定以上に中身の濃いクオリティの高い作品である。

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投稿日:2021年10月13日 14:50

最終更新日:2021年10月13日 14:53