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愛にあふれた愛の物語

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これは魔法が衰退し、徐々に科学の世界へとなっていく時代に、失われていく魔法に触れたある一家の愛の物語です。 ファンタジーが物珍しいものへとなっていくなか、ファンタジーを見世物として売り出す闇の組織から救われた宝石の子ローズと、血のつながらない弟ルミエールが救出されるところから物語ははじまります。虐げられた二人は、とある貴族の兄妹のもとに預けられることになるのですが、その兄ジェドと妹セレナとの関わりの中で、子供たちと大人たちは愛することと愛されることを知っていくのです。 第一章はローズの物語。胸にルビーを埋め、涙が宝石に変わる魔法の少年の物語です。 舌と喉は焼かれ、虐待により深い傷をおったローズはジェドやセレナからたっぷりの愛をもらうのですが、愛だけではなく傷が深い章。ちくりとするシーンがたくさんあり、今後の展開にとって重要なものを残します。 第二章はローズの弟ルミエールの章。兄の死を受け入れられないルミエールが、ロゼの誕生を通して兄の死を受け入れていく物語です。 第三章はルミエールやロゼの成長の章。二人は成長の過程の中で別々の決断をしたり、大きな事件に巻き込まれていきます。 どの章にも貫かれて描かれるのは、大きくて、優しい愛情です。 不器用なジェド、弟を守りたいローズ、兄と兄のかけらを愛するルミエール、無垢なロゼ、たくさんの子供たちを愛するセレナに、その子供たち、セレナの旦那であるヴェルデなどなど、様々なキャラクターが登場しますが、みんなが誰かを愛し、大切にしているのです。その姿に癒されるときもあれば、切なくなるときもあります。大きな愛に触れ、読了したあとには、心が非常に温かくなりました。虐待という痛ましい出来事からスタートする物語で、時には不穏さが見える物語ではありますが、それ以上に愛情がたっぷりあって心が和みます。あたたかさがこの作品の最も素晴らしいところだと私は思いました。 文章も読みやすく、設定なども十分に説明されているので、難なく読むことができます。 読んでいるとジェドとロゼの関係がとても気になったのですが、続編もあるということで、現在続編を楽しく読ませていただいております。お気に入りのジェドとロゼがたっぷり読めて幸せな気持ちで読み進めております。 複雑ではないですが、複数の人間関係も描かれていて、とても楽しめる作品となっております。 続編と合わせて、みなさんにも読んでもらいたい一作です。

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投稿日:2020年9月26日 17:26

最終更新日:2020年9月26日 17:26