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ネタバレ

風浪

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 波は風によって起きる。  この物語で「風」は満開の桜の中二人が出会った瞬間のことで、波は互いを見た第一印象であろう。  風によって生まれた波は風浪と呼ばれ、風の強さによって波の形を変える。  さくらと寛太、二人の関係も時間と場所と距離によって変化する。  他人から友人、親友、そして思い人へ変化する。  手を繋げる関係までに至っているも、気恥しさからかある一言が言えずにいた。  互いの感情で高まりあった波は勢いのある若い波であろう。  では、波はどこで終わるのだろう。  砂浜に到着した時か。それとも波止場に打ち付けられた時か。  波は終着点に届かない限りずーっと動き続かなければならない。  二人の関係はさくらの父の転勤で終わりを告げる。  心の中で飛沫を上げる感情の波をさくらは自分で殺す。  感情の波を押し殺し一つの区切りとしたのだ。  しかし、寛太は自分の感情を殺せずにいた。自分の感情の波に溺れ、もがき、苦しみ時を過ごしていく。  寛太の心にある波は終わりを知らない。感情によって形を変え、自分や他人を傷つけていく。  恋は人間の敵であろう。キチンと殺さなければゾンビのように蘇り、多くの人を傷つけていく。  うねりを上げる寛太の恋の波はどこに帰着するのか。  寛太は恋を殺すことができたのか。  目まぐるしく変わっていく感情の波をぜひお楽しみください。

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投稿日:2020年9月20日 18:01

最終更新日:2020年9月20日 18:01