ネタバレ

創作者なら読んでおきたい、良質なエッセイ

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 作者自身の長年の創作経験をもとに、執筆についての持論を赤裸々に綴った意欲的なエッセイ。  紹介画像には"やや偉そうに"と記載があるものの、幸か不幸か、作者の人柄の良さや懇到さは隠しきれていないようだ。  主として、執筆歴が浅かったり、小説投稿サイト等を利用した経験の少ないビギナー向きのエッセイと言える。  サイトの選び方に始まり、執筆の為のアイデアの見つけ方やモチベーションの保ち方などなど、ひとつひとつ丁寧に解説してくれている。  執筆に行き詰まっている人や投稿サイトの活用において心配事がある方などには、特に参考になる内容だと思う。エッセイに記載のないことでも、創作関連の疑問や悩みなどある人は、コメント欄に書き込んでおけばきっとさりげなくアドバイスしてくれるだろう。  どのエピソードも興味深く読ませてもらったが、個人的に特に印象に残ったのは007と009だ。  執筆に限らず、何でも経験を重ねて上達していくと、他人からの評価などを意識するようになるものだろう。いわゆる"承認欲求"というやつだ。  それ自体は悪いことではなくむしろごく自然なことであるが、そうした欲求が行動の原動力となるのは危険であると作者は示唆している。一番大切なのは"楽しむ"こと。執筆が好きで仕方ないから続けているという純粋な気持ちが大切であり、忘れないようにしたいと思った。  また、苦手なジャンルに対しての向き合い方を記した009も大変興味深かった。  "嫌いだから"、"自分には合わない"と愚痴を言って避けるのは、別に悪いことではないだろう。無理して好きでもないことをするよりは、精神衛生上そのほうがずっと良い。  しかし、嫌いなものや苦手なものだからこそ、自らの手で面白く創り上げられないか、時流に合わせなくとも良質な形にできないかと試行錯誤する作者の姿勢には感服させられる。本当に創作行為が好きだからこそ抱ける発想なのだろう。  ビギナー向けのエッセイと前述したが、執筆歴の長い人もそうでない人もぜひ目を通してもらえると、創作観を広げることができるだろう。

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投稿日:2019年12月3日 10:46

最終更新日:2019年12月3日 10:46