レビュアー

ネタバレ

22時くらいから放送されている社会派ドラマを見ているような作品

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 いじめ問題。  数年前からテレビでも雑誌でも取り上げられることが多くなった問題ですね。  いじめというのは永遠の社会テーマだとわたしは思っています。この先何十年何年経っても、被害者も加害者も傍観者もゼロになることは無いんじゃないかな。  今現在も苦しんでいる人がいる、過去のトラウマで苦しんでいる人がいる、そしてそれを苦に命を絶ってしまった人もいる、そんな重たいテーマで描かれたのがこちらの作品になります。  学校でのいじめを苦に命を絶った少年と、その家族、まわりのクラスメイト、そして、教育機関サイドの人間のお話。  物語は、街宣シーンから始まります。 「Xは無罪である」と主張する集団と、「Xは有罪である」と主張する集団。  そのXが何者で、何をした人物であるのかははっきりと描写されていませんが、読んでいくと、対立する二つの意見をぶつけられるXという人物の輪郭がぼんやりと浮かんでくるように感じます。  Xは無罪であると主張する人物のもとに署名に現れる一人の男、そして、その行いに感謝する被害者遺族。  そして、第二話から、何があったのかを紐解いていくストーリーが始まります。  これを読んでくださっている方は、社会人学生、さまざまな立場の方が多いと思います。  中には、いじめの当事者だったという方もいるんじゃないでしょうか。  学校でのいじめって、意外と外からはわかりにくいんですよね。子供には子供の世界があり、大人に隠していることもたくさんあるので。  そういう描写がとてもリアルで、決して混ざり合うことのないそれぞれの真実が文章に落とし込まれています。  真実を求める両親と、事を荒立てたくない学校サイド、そして傍観者だったクラスメイトとその親御さん。  それぞれの思惑が混ざり合う、非常に濃厚な小説です。  死人に口無しーーいちばんの当事者がいない中で、どのようにして事件の真実に辿りつき、どのようにして理不尽の連鎖が断ち切られるのか、今後の展開が楽しみです。

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投稿日:2020年8月25日 21:38

最終更新日:2020年8月25日 22:00