彼は竜のこどもとして、そして彼女は彼の母として

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 心優しい青年・ミナイ。彼はある出来事から現実世界を旅立ち、剣と魔法の異世界へと呼び寄せられる。そこで真っ先に目にしたのは黒い竜だった。  その黒い竜は言葉を尽くして誤解を解くと、ミナイをこどもとして迎えたいと申し出る。あまりにも強大な力を持つが故に竜を敬うことはあっても、こどもになってくれる者はいない。その孤独から、優しい青年であるミナイの行いを見ていた竜は彼を子供に迎え入れるべく、膨大な魔力を用いてミナイを召喚したのだった。  アルテア、と名乗った竜は美しい女性の姿となってミナイを迎え、そしてミナイもまた彼女のこどもになることを決意する。  そうして始まった、異世界での生活。穏やかな日々はしかし、徐々に暗雲が立ち込めていく。  竜のこどもとなったミナイと、彼の母として振る舞う竜・アルテア、そしてその周りの人々。彼らが立ち向かうことになる世界の異変と、その脅威。果たしてミナイたちは平和な暮らしを守ることができるのだろうか――。  丁寧な描写と確かな筆致で描かれる物語は、じっくりとファンタジー小説を楽しみたい、という方にはぴったりの作品です。異世界への転移、という現代人を主人公とすることで、私たち読者と近しい視点から異世界の描写をしていき、その世界に精通した竜の女性が解説をしてくれるので、わかりやすくこの作品の世界に触れていくことができます。  ひかくてきゆっくりとした展開ですが、同時にそれは丁寧な描写の表れであり、急ぎ足で進んでしまう作品と違った味わい深い楽しみを感じることができます。  高識空先生の設定集を読むことで、更にこの作品について知ることもできますが、もちろん本作のみでもしっかりと描写されているため、「竜のこども!」単体でもしっかりとお楽しみいただけます。  皆さんもこれを機に、竜とそれにまつわる異世界のお話を覗いてみませんか?

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投稿日:2021年10月11日 21:53

最終更新日:2021年10月11日 21:53