レビュアー

ネタバレ

毒の奥の、甘ったるい優しさを。

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チョコレート。 一般的にバレンタインと言えば、女子が男子にそれを渡して甘々な展開になる日である。 例え、渡したチョコレートがカカオ88%のビターチョコであろうと。 例え、ハンドメイドに挑戦した結果、ちょっと形が歪になってしまった愛情の込められたチョコであろうと。 貰った側はそれなりに嬉しいものである。 私であれば、貰った刹那に欣喜雀躍。この世に生を受けたことに満腔の喜びを示すだろう。 なのに。なのになのになのに。 今年のバレンタイン。 いや、今年というか。 例年通りというか。 私は、ひとつもチョコレートを貰わなかった。 義理チョコの権化とも呼ばれしチ○ルチョコすら。 義理で配るのに最適なチョ○ベビーのひと粒すら。 あぁもう。しんどい。 周りでは多様なカップル達が、たちまちの内に蔓延っているというのに。 らふらぶイチャコラしているのに。 この憎しみを恨みをつらみを。どこにぶつけて昇華してやろうかと考えていたが、ある日の夜中の零時をまわった頃。 私は、あるひとつの作品に出会った。 それが、「毒ありチョコレート事件」である。 私は、タイトルを一目見たその瞬間。 これだ。 これは如何にも、チョコレートに苦しめられる男子の無様な姿を拝める作品だろう。 あわよくば死ぬんじゃないか?いい感じに毒殺されるんじゃないか? と。 自分が最低な人格の持ち主であるということは否定しないが、とにかく私はわくわくどきどきしながら画面をスクロールし始めた。 あぁ、なんということだ。 私は、なんて穢れた人間なのだろうか。 5分前の自分を殴って気絶させ、おまけに下剤でも大量に強制摂取させてやろうかと。 自責の念に駆られた。 女の子やさしい。 男の子もすごい。 レビューでつらつらとネタバレを述べるのは、あまり私のやりたいことではないので敢えて伏せるが。 女の子は男の子が好きなんだなと。 正直、もっと男の子を痛めつけようと思えばできたろうに、感情を抑えて被害を大きくしないようにしたところとか。 手作りチョコを台無しにしてまで男の子に気付いてほしかったところとか。 伏線も張ってあったし。すごい。 ふたりとも、優しい物語。 チョコレートを貰えなかった人も、貰えた人も。 多くの人に読んでほしい、バレンタインのストーリー。

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投稿日:2021年2月23日 01:30

最終更新日:2021年2月23日 01:30