レビュアー

僕の妹は日本語が話せる

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 この小説のタイトルはこちらです。  『品詞の生贄』  瀕死の生贄ではなく、品詞の生贄です。  さっぱり意味が分からないですよね。  しかし、本文を読めば納得します。  あらすじにはこうあります。  “神の怒りに触れた日本語は、品詞を一つ、生贄として差し出さねばならなくなった。”  つまり、日本語から品詞を一つ消して、日本語が存続するかどうかの思考実験ですね。  さて、品詞とは何でしょうか。  端的に言えば、単語を分類したものです。  名詞であれば、ものの名前、動詞であれば、動作をあらわす単語です。  日本語にはさらにいくつもの品詞があり、最悪なくても伝わるのではないか、と思われる品詞だって、ないわけではありません。  犠牲になるべき品詞を考えて、名文とされる文章を読んでみると、不要かどうかがわかります。  品詞は集まって検討をしていきますが、意外なことが判明します。  はたして、生贄になるのはどの品詞なのか。  生贄となったあと、日本語はどうなったのか。  オチまでふくめて完璧な構成のもと、日本語の奥の深さを実感できます。  ノベプラの母体であるホビージャパンのHJ文庫からは『僕の妹は漢字が読める』という作品が出版されています。  この作品がノベプラに投稿されたのも運命というものかもしれません。  さしずめ、本作は「僕の妹は日本語が話せる」といったところでしょうか。  さあ、あなたも『品詞の生贄』を読んで、やがて訪れる日本語の終焉の先を堪能してみませんか?

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投稿日:2020年8月1日 11:12

最終更新日:2020年8月1日 11:12