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心優しい泣き虫の男の子は、どんな未来を迎えるのか?

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大抵の方は、『白か黒か』もしくは『善か悪か』を決めたがります。そうして、『自分よりも下の者がいる』と安心したがります。それらは人間故仕方ない事なのでしょうが、『誰にとっての正義なのか』という謎が生れます。勝てば官軍とよく言われますが、『マイノリティーが悪』『マジョリティが正義』なのでしょうか。 この作品の登場人物である『サチ』は、ゾンビです。ゾンビと聞いて想像する、所謂腐った歩く死体とは違います。『サチ』は、銀色の髪で赤い瞳をしています。それだけです。それ以外は人間と変わらない、少し泣き虫な男の子です。それなのに、『悪魔の子』と呼ばれて、忌み嫌われます。 牛や豚や鶏など人間が普段口にする『肉』からみれば、人間こそ悪魔です。でもだからと言って菜食主義(ビーガン)が許されるとも思いません。植物だって生きています。なら、屠殺(とさつ)する人が悪いのか?いいえ、人間が食事をするために『代理』をしてくれているだけです。 生きているものは、何かを食べなければならないのです。それが生きていく上での(ごう)です。 『サチ』は、人間を口にしていません。絶対に食べないと約束しているのです。彼と行動する『コウ』と温かいシチューを食べ、人間と変わらない生活を過ごしているのです。 そうして、心配した『コウ』に渡された護身用の銃を渡されると、困ってしまうのです。忌み嫌われても、『サチ』は人を殺したくない、優しい子だからです。 物語は始まったばかりで、ゾンビという存在の見た目の謎や、人間を食べる理由、食べなくても生きていける理由、かつての時代の神話の謎。これからの見どころが満載です。 何よりも私が勧めたいのは、『この物語を包み込む暖かな雰囲気』です。物語を読み聞かされているような、何処か安心する雰囲気で作品が書かれています。真似できない、ミハイルさんだからこその世界観です。本当に素晴らしいと思うと同時に、こんな柔らかな作品が書ける事に嫉妬します。 ハンカチを噛みながら(笑)、私は読むことを止めません。読書後の、ほわほわとした安らぎに包まれたいからです。 皆さんも、優しいゾンビに会いに来ませんか? 銀髪の、赤い目をした心優しい泣き虫の男の子に。 『サチ』は、『幸』。 彼が幸せになる日を願いながら、作品を読み進めていきたいと思います。

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投稿日:2021年2月8日 23:21

最終更新日:2021年2月8日 23:45