レビュアー

ネタバレ

聴覚過敏の夫と、共に生きていく妻の物語。

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 駅での飛び込み自殺を図る青年、葉山(はやま)(れん)を助ける場面から、二人の恋は始まる。  蓮は聴覚過敏や発達障害・学習障害という特性にさいなまれ、しかも過去のトラウマから喋る言葉もか細く、そしてたどたどしいものだった。  どのような経緯があったかは少しずつ明かされていくものの、半端な気持ちで見ることは許されない――それほどまでに我々の心を、歯嚙みしたくなるように揺さぶってくるのだ。  そんな蓮を助けたのが、茅ヶ崎(ちがさき)葉月(はづき)。ウェルカムスピーチを話していた、のちに蓮の妻となる勝気な女性である。  元ヤンという過去を持ち、加えてかなり勝気な性格――蓮とは真逆の人物像と言っても良いだろう。  一見想像しがたいこのカップルが、いかにして夫婦になるのか。それが最大の見どころであろう。  甘いだけではなく、聴覚過敏や発達障害・学習障害――そしてそれによって引き起こされる困難――という苦い側面もまた、共に受け入れられる人にこそ、読んでほしい一作。

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投稿日:2021年5月3日 12:12

最終更新日:2021年5月3日 12:12