レビュアー

日常にジワジワと入り込んでくる不協和音。

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 タイトルの「近未来型彼女」、あらすじに並ぶ記憶転移システム、最新アンドロイド開発。  大学生の若いカップルのエピソードから話が始まる。甘酸っぱいカップルのエピソードに、ちりちりと入り込むの違和感を、タイトルとあらすじから読み取っていく。読者が予想するであろう展開を織り込みながら、話が読者をどんどん引きずりこむ。  気が付けば、「近未来型彼女」の世界の中にどっぷり浸かっているのだ。日常に過去のエピソード、思わせぶりな伏線。軸がゆっくり傾いていく日常。  パズルのピースがはまりながら、別の場所が剥がれ落ちる。  読者は、心が締め付けらるであろうその結末に向かって、更に話に潜り込んでいくのだ。  新しい登場人物は、話の展開が重なるごとに少しづつ増えていき、読み手は迷わせることはない。読みながら、登場人物がピースになってはまっていく。    微笑ましいカップルの日常に、不協和音のメロディが入り込み、不協和音がどんどん大きくなっていく。  心が締め付けられる展開に向かって結末は一気に加速していく。作者の見せる結末を読み手は息をのんで待つ――。  

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投稿日:2021年1月30日 10:29

最終更新日:2021年1月30日 11:44