レビュアー

ネタバレ

優しく薄情で、だからこそ彼女は人にはなれない

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死を看取ることしかできない彼女は優秀なロボットです。 次々と主人が変わってもそれは変わりません。 望むのはしかし、ただ自分の「死」だけです。 淡々と 「シャットダウンして下さい」 と主たちに繰り返す彼女は 「恐怖」を持っていません。 だからこそ彼女は人にはなれず、 永遠に主の死を見届けるはめになるのです。 そのことに気付いたとき、 はじめて彼女は「人」になれるのではないのでしょうか。 人は死を無意識に恐れます。 それは「本能」に植え付けられたものだと自分は思います。 ですが、ロボットの彼女にはそれがありません。 心というプログラムはあっても、 死への恐怖を覚えなければ人ではないと考えるのは、自分だけでしょうか? 所詮はプログラムの塊の彼女。 けれど望むのは死への渇望。 それを手に入れることが、将来果たしてできるのでしょうか。 読みやすくも哀愁漂う文体で紡がれる、仄暗いストーリー。 一話一話も丁度いい塩梅で、 適度な空白もあり、スマホからでも楽しめることができました。 スムーズに読み進めることができるはずです。 残酷なほど優しく薄情な物語をぜひ、堪能してもらいたいと感じました。

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投稿日:2020年8月25日 23:06

最終更新日:2020年8月25日 23:06