呪術って、効果があるものが実在するかどうかは、分かりません。しかし、確実に言えることは、たとえ偶然であったとしても、おもい続ければ、良くも悪くもかなうことがある、そして一番凄まじいチカラがあるのは、呪いの術式というより、呪う執念そのもの。ということです。 途中から、物語はミステリーに似た様相を帯びはじめ、阿久津先生が自らの演技の種明かしをすると同時に、読者へも小説の構造の種明かしが行われます。実に上手いストーリー構成です。 読み返してみると、随所に伏線が貼ってあり、それぞれが見事に回収されていることに気づくことでしょう。 阿久津先生の名演技を通すことで、呪術師の呪いのパワーも、男が感じる恐怖も、読者のおどろきも、倍増したようにおもいます。