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たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私は林檎の木を植える。【崩壊する星と熟れる精神〜終焉を迎える際に味わう熱は流星か、それとも愛か】

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 「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私は林檎の木を植える。」 終業式の日に校長先生が言ったルターの言葉。その意味は大事なのは成果や見返りでは無く、将来の希望を育てる行為その物が幸福なのだと言う事だ。  この言葉はこの物語の根幹を表すのに相応しい言葉で、事実本編では登場人物達がこの言葉について幾度か考えている。  各々の解釈は異なるが、私はこの林檎は最後に熟した二組の男女の事を指していたのだと感じた。  世界終焉が知れ渡ったこの世界で激的に成長した感性が、個性が、自我が、精神こそが林檎なのだと。彼らは植えられた林檎の木から己自身が林檎を育てる者へと変わり、その変化が魅せる正しさを土返しにした完成形の精神的な幸福に最後は考えさせられ、そして大団円に喝采を贈る。  さて、前段ではありのままの感動を文章にしたが、ここからはこの物語の見どころを具体的に伝えたい。  この物語のメインキャラクターは  ・風間孝太郎  ・山石琴里  ・竹房征樹  ・星浜 結  の四人だ。  まず最初は、この物語に最初に出てくる(と言うのもこの物語はそれぞれの登場人物が他の人物と絡みながらリレー形式のように話が展開される為、四人とも主人公となっている)風間孝太郎から順番に紹介していく。  風間孝太郎は登場人物の中で一際感性が優れている少年で、更には優しくお人好し。クラスでも人気がある方。そのせいで最後までの時間を同級生の悩みを解決する事に費やす。聖人か?  山石琴里は孝太郎とは真逆で大人しく、清楚な印象の少女。世界終焉が近いと言う恐怖も相まってか、母親が何気なく言った一言を気に病み悩んでしまう。孝太郎が解決しようとした悩みは彼女の物。  竹房征樹は文武両で生徒会も務める秀才だが、家庭では、学歴の低い両親からの過度な期待から来る虐待を含んだ教育に苦しんでいた。しかし、世界が終焉する事を知ると、今まで耐えていた事が全て無駄になり、家を飛び出した。孝太郎の友人。  星浜 結はこの中で最年長の女性で、ストリートミュージシャン。育ちは良いが自由奔放な正確で家を出た。性格も相まって男女の関係が豊富で人間的にもこの中で一番大人。少年二人と関わり成長を促した。  この作者の登場人物の心理描やセリフの言い回しが秀逸で他にも魅力的な登場人物が多数登場するのでぜひ自分の目で見て欲しい。  また、情景描写も秀逸で、固有名詞を使わずに訪れた店がド〇キとわかったり、登場人物達が歩く街並みや公園の情景を容易に想像出来る。  伝えたい事は山程あるが、私がここで逐一解説するのも無粋という物。まるで名作映画を一本見終えた後の様に心地良い余韻を読書後の読者諸氏は須らく味会うだろう。  短い文章で感動を最大限に伝えるこれこそが正に名作小説。無料で読める事を本当に感謝したい。

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投稿日:2019年12月15日 11:03

最終更新日:2019年12月15日 11:03