レビュアー

あらゆる意味で問題作

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中盤で目頭を熱くし、ラストで驚いていただきたいので、ネタバレはしません。ジェットコースターような感情と状況のアップダウンを楽しんでいただきたいものです。人情物語を連想させる題名に騙されてはいけません。 冒頭から不穏なムードが漂っています。人生に積んだ主人公が、最後の晩餐を取ったファミレスの名前が「スーサイド」。シーサイドではありませんよ……。死ぬ気マンマンです。 タクシードライバーに行き先を尋ねられて、夜遅いにもかかわらず、「青木が原」などと口走ってしまう主人公。死にたい気持ちを隠す気力がないほど人生詰んでいます。 そんな主人公をタクシードライバーは「思い出の地」に乗せていきます。中盤の物語の流れは、とても内省的で美しい。堪能しました。未読の方にもぜひ静かな感動を味わっていただきたい……。 生きる気力を取り戻したものの、主人公は当座の生活にも困っています。主人公の窮状を見かねたのか、もとよりそのつもりだったのか、タクシードライバーはトンデモない提案をします。 人情物語として本作を読んでおられた方はこのラストに驚き、目を瞠ると思います。ラストでそう来ますか!!!!。百年経っても忘れ去られないであろう地名をもじるとは、作者様は猛者ですね……。 あらゆる意味で問題作です。どうぞご高読ください。独特の読書体験ができると思います。

good

3

投稿日:2019年10月27日 09:44

最終更新日:2019年11月2日 16:58