ネタバレ

悪が消えることは、あるのか。いや、悪という概念が悪を生む。

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戦闘から入る書き方に、思わず引き込まれます。勇者と魔王の対決。光と闇の対決。古よりの因縁。 文字数が限られている中で、キャラの個性や物語の構成が良く作られていると思います。(実は異世界からの勇者、という小説の作品を読むのは、この作品がほぼ初めてだったりします) 勇者の願い。それは、あるものにはとても辛く残虐なものです。勇者には、「魔術があるから魔王が生れる」という考えがあるからです。勇者の姿も消えてしまうのも、「魔法によって召喚された」からです。ですが、悲劇なのでしょうか?勇者は異世界から召喚されたので、こちらの肉体がなくなればまた異世界に帰るかもしれません。これは、読み手の余韻に任せられています。 本当に憐れなのは、「魔法」によって生きていた生き物たちです。姿を変えるか消滅するか――戦争に犠牲はつきもの、という言葉の通りです。彼らは、『世界に平和の為』の犠牲になったのです。 勇者は、この世界の人間を信じていて魔法がなくなれば魔王が生れる事がなく人々が幸せに生きていける、と思っています。『人間の平和』の為とも取れる考え方です。 ですが、その後『暗黒の二千年紀』が始まるのです。 希望を抱いて選んだ勇者の選択。ですがそれは、また違う『悪』を選んだことなのです。 人間が全て良い人間なのでしょうか?人間同士の争いがある事から、全ての人間が『良い人間』ではないのです。勇者はこの世界に来てから、『良き人』にしか会ってないのでしょう。 私たちが住む世界を考えて下さい。魔法がなくても毎日誰かが殺され、事故に遭い、世界のどこかで『戦争』が起こっています。 『悪』とはなんでしょう。 むしろ、人間が悪を生んでいるのではないのか?と、思わせられた作品でした。 『暗黒の二千年紀』の内容も書かれていません。これも、読み手の判断に任せられているのです。 私は、今度は人間が『魔王』(この場合の魔王という言葉は比喩と考えて下さい)を生み出したのではないかと感じました。 とても読みやすく世界観も分かりやすく、『悪とは何か』を読み手に考えさせてくれるよく出来た作品だと思いました。とても面白かったです。

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投稿日:2021年7月17日 04:40

最終更新日:2021年7月17日 04:40