聖歌響き渡る中、血みどろの熱狂を貴方に。『 人造乙女の決闘遊戯 ~グランギニョール戦闘人形奇譚~』

♡

1,000

〇

1,000

 聖女に捧げる宗教儀式として繰り広げられる決闘遊戯(グランギニョール)。  そこに投入される見目麗しき人造乙女(オートマータ)たちの聖戦(死闘)と、それを取り巻く人々の様子を描いた物語です。  物語冒頭からいきなりショッキングな様子が描かれ、最初読んだ時には何事かと思ったのは内緒。  その後、この世界の様子や、決闘遊戯、そして人造乙女とは何なのか、といった事柄が丁寧に描写されるため、読み進めていく内にどんどん引き込まれていきました。  なお、主人公は冒頭の決闘遊戯に出てくるフロックコートの青年ではありません。  人格と魂を宿す人造乙女を殺し合わせる行為に忌避感を覚え、才能ある技術者でありながら、貧民街で医師として働いている主人公レオン。  その彼の許に、かつて錬成した人造乙女が担ぎ込まれて――といったところで、本編が動き始める形となります。  世界観の描写は、非常に綿密かつ丁寧。  スチームパンク的に発達した蒸気機関とエーテルや精霊といったファンタジー要素が組み合わさった独特な世界が、これでもかというくらいに丁寧に描写されています。  特にスチームアナライザーなんかの描写が美しい(エロい)ので、階差機関(ディファレンスエンジン)とか解析機関(アナリティカルエンジン)といった単語に惹かれる方にはとてもお勧め。  人物描写も同様で、登場人物の関係性や行動理由がしっかりと描写されており、敵役も含めて皆、魅力的だと感じました。  初登場時に「何だコイツ」と思っても、話が進む中で「なるほど」と思わされるので、個人的には今のところ嫌いな人物はいません。  決闘遊戯を扱う以上、非常に重要となる戦闘シーンについても、とても丁寧に描写されていると思います。  特に『【一〇】決闘遊戯』での戦いは、お互いに死力を尽くしたものとなっており、読んでいてとても燃えました。  主人公には大変申し訳ないですが、私も決闘遊戯のファンになりそうです。  スチームパンク好きや真正面から血みどろでぶつかり合うバトルもの等に心惹かれる方に、是非とも読んで欲しい作品です。

1

投稿日:2020年3月15日 00:42

最終更新日:2020年3月15日 22:08