『人間に寄生した悪魔を退治するためにラブコメをしてください』 中高一貫校に通う、高校年生の塚原龍馬は、学校終わりの放課後に、自分の住む団地の前の公園を通ると儚い女性の泣き声が聞こえてくるのに気が付いた。 泣き声のする方を見ると、それは目を疑うような衝撃的な光景を目の当たりにする。 剣が泣いている。 ひっく、ひっくと、嗚咽をあげて泣いている剣と目が合う。すると剣のつばの真ん中のルビーの宝玉をぴかん、ぴかんと光らせる。そして、剣身をバネみたいして、ピョンピョン跳ねて龍馬の目の間に立つ。 『ワタシの名前はエレイネ。神界の女神です』 自我のある剣がいきなりアニメ声で女神と自称する、とんでもない展開。 『勇者様お名前は?』 「塚原龍馬」 挙句の果てに龍馬のことを勇者呼ばわりする始末。 不審に思いながらも龍馬は流れのままに名を名乗る。 『なんと勇者らしいお名前。では、失礼します!』 剣が勝手に光り出した。かと思うと宙に浮き始める。 グサ。 そして、いきなり龍馬の胸を貫いた。 絶命したかと思われたが、どうやらそうではないらしい。痛くもないし血も出ていない。目の前を見ると先程の剣はいなくなっていた。 白昼夢かと思った矢先に脳内に声が響き渡る。 『夢ではありません。これから悪魔退治を共にお願いいたします』 エレイネによると、神界で封印していた悪魔が逃げ出して人間界に降り立った。それを退治するためにエレイネは人間界に降り立った。 女神は人間界に降り立つと剣の姿となり本来の力が出せない。本来の力を出すには人間と共闘しなければならない。そのためにエレイネは龍馬を選び龍馬の中に入った。 悪魔は人間の女の中に寄生する。寄生した女の子供として人間界に紛れ込み、世界を支配しようとしている。 寄生された人間から悪魔を取り払う術は≪その女とラブコメをすること≫ そして、出て来た悪魔をエレイネと共に退治する。 『それではリョウマ様。これからわたくしと共にラブコメをしまくって、悪魔をバンバン退治しましょうね』 「勝手過ぎるだろ」 こうして、喋る剣と共に世界を救うための龍馬のファンタジーラブコメディな冒険が始まる。 ※小説家になろう。カクヨムでも投稿しています。
読了目安時間:2時間29分
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