街の片隅に存在するとある冒険者ギルド、その名は『DUST』と言う。 彼らは吹けば飛ぶような弱小ギルドではあったが、その筋では非常に名の知れたギルドであった。 その理由とは……。 「あほかお前! 野良猫を拾ってくるみたいにポンポンとさらってくんじゃねぇよ!」 「まぁまぁギルマスー。いいじゃんいいじゃん。この子あの『黄金の翼』からほっぽりだされた子なんだよー。絶対掘り出し物だってー」 「ふざけんな! 超ド級の厄ものじゃねぇか! ウチみたいな弱小ギルドがあそこみたいな大手と事を構えたら三日ももたねぇよ!」 そう、ここはよそのギルドから追放された者たちの吹き溜まりであった。 ここにいるのは、一癖も二癖もあるものばかり。 一刀万断、超抜級の剣の腕を持ちながら、生来の虚弱体質のため5分と戦えない剣士。 金城鉄壁、無敵の防御力を持ちながら、生粋の臆病者かつ亀より遅い鈍足のためタンクの役割を果たせない戦士。 魔力無辺、神域に達する魔力を持ちながら、類まれなき不器用さのため初級魔術しか使えない魔術師。 怪盗乱麻、この世に盗めぬ物なき手腕なれど、生まれついての盗癖が祟り所属するギルドの金庫をあさってしまい追放された盗賊。 そんな彼らを束ねるのは騎士団崩れの若きギルドマスター。 彼は、問題児だらけのギルドメンバーが起こす騒動に、頭を抱える毎日を送るのであった。
読了目安時間:4時間36分
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