片道切符
柊 真詩
現代/その他ファンタジー
短編
4話
4,107字
2022年11月5日更新
「お待ちしておりました。どうぞ、こちらに」 車掌の言葉に導かれるまま、三十歳も過ぎた俺はとある列車に乗り込んだ。列車内の乗車客は時代性も地域性もバラバラで、各車両の後ろには黒電話が置かれている。 列車から降車する方法は、呼び鈴の鳴る黒電話を取ること。そして、この呼び鈴は戻ってほしい、という他者の叫びであるという。 しかし、俺の心は黒電話から遠い所にあった。窓ガラスには、憂いを帯びた自分の瞳が 反射する。 そんな俺の向かい側に、十五歳の少女が座った。 「あの、あんまりじろじろ見ないでください」 不快そうに視線を向ける少女だったが、俺は視線を少女から逸らすことができない。 ぎこちなく言葉を交わす俺と少女を運び、列車は終着駅に向かって走り続ける。 そしてこの出会いが、真実の終着へと俺達を導くのであった。 この作品は小説家になろう様、アルファポリス様にも同時投稿しています。
読了目安時間:8分
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