箱入り娘のお嬢様女子高生・白樺柚葉は、ある日父親に「親元を離れて暮らしなさい」と命じられた。 ファザコン気味の柚葉はすんなりと承諾。しかし電車の切符も一人では買えない彼女に一人暮らしは何かとハードルが高い。 そんなお嬢様の元に、かつて遠くに旅立った幼なじみの少年であり、捨て子でもある秋賀野尋斗が帰って来た。 十年ぶりの再会に柚葉は多いに喜んだものだが、大きく立派に成長していた彼は、彼女が必要としていない執事になっていた。白樺には代々執事を婿として迎え入れる慣わしがあり、つまり尋斗は柚葉の婚約者ということになる。 「私は執事なんていらないわ」 「俺と結婚してくれ」 そして始まったルームシェア。何だかちょっと噛み合わない二人だが、どうにかこうにか同棲生活を送っていく。 ある日、尋斗の本当の両親が現れて彼とやり直したいと口にする。けれど彼自身は実の両親を拒絶しており、柚葉はその事で頭を悩ませる。 世の中、どうにもならない事はある。それをすんなり受け入れられるほど彼女は大人ではない。けれど、この問題を上手く解決出来ないのもまた事実。 そんなお嬢様の気持ちを知っていながら、執事は求愛を止めたりはしない。 「わたしの執事になって欲しい」 幼い頃に交わした口約束を、彼は愚直に守り続けているのだから。 恋愛クソザコお嬢様のラブコメディ、始まります。
読了目安時間:18時間54分
この作品を読む