子どもの頃、お風呂に張り付いたヤモリを可愛がっていた隆司(タカシ)は、実家から出て十年。 三十手前になってから、二日酔いの朝に玄関の前で四つん這いの少女を見つけた。 色々と不思議な少女。生まれは隆司と同じだというが、親はいないという。 不思議に思いながらも少女と共に生活を共にする隆司は、いつの間にか少女と暮らす毎日が楽しくなっていた。 しかし、そんなある日、彼女は隆司の前から姿を消す。 少女を探しに全力を尽くす隆司、だが、彼女は見つからない。 そんな時、両親から電話がかかってくる。 どうでもいい世間話「お風呂にいたヤモリがおらんくなった」 そのことに、怒りを抑えきれない隆司、が、そこで彼はひらめきに近いなにかを思い出す。 それは少女との生活の日々で―― ヤモリと人と、それから家族。 お風呂に張り付いたヤモリを家族みたいと思ったことはありませんか?
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