忘れもしない小学一年生の時。 友達のA君に問題を出された。『パンはパンでも食べられないパンってなーんだ?』と。 おいおい小学生にもなってまだそんな戯れをしているのかい? 私はお決まりのなぞなぞを鼻で笑った後、凛として答えた。それはフライパンだよ、A君。また愚問を・・・。 しかしどうだ。A君はその答えを待ってました!と言わんばかりに、やーいやーいと騒ぎ立てる。 『残念!正解はピーターパンでーす』彼はそう煽ってきた。何も言い返せず、私は震える右拳をぎゅっときつく握った。 別の日、彼は私に同じなぞなぞを出題してきた。『パンはパンでも―』 私もバカではない。経験則からすると、フライパンが解でないことは明白。 瞬時の分析・判断。彼が問題を言い終える前に私は答えを言ってやった。 それはピーターパンだね。まったく二度も同じ罠にはまるわけがない。 しかしどうだ。A君はその答えを待ってました!と言わんばかりに、やーいやーいと騒ぎ立てる。 『ぶっぶーーーー。正解は賞味期限切れのパンでしたーー』彼はそう煽ってきた。 不覚。この男に私は二度も敗北を喫した。 得意げにゲラゲラ笑う彼に背を向け、私は走り去るしかなかった。 私は幼かった。何も言い返せなかった。 あの時からA君の顔を片時たりとも忘れたことはない。 時は来た。今度は面と向かって言おうじゃないか。 君の答えも違うのではないか? 十年以上の歳月を経て復讐が始まる。 …とかなんとか大袈裟に言うてますけど、単純になぞなぞの考察をしているだけです。 深いようで浅い内容ですのであしからず。
読了目安時間:19分
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