「私はね、聖女になんかなりたくないの」 十六歳の春、聖女の転生者である可能性を告げられた少女、ガーナ・ヴァーケルは笑った。 「帝国の為なんかに死にたくないもの! 私の大切な友人たちを傷つける帝国なんて大嫌い。運命? 宿命? そんなものなんかで私を縛り付けられると思うのが間違いよ!!」 それは、少女の誇りだった。 「いいわ、かかってきなさい。死ななきゃいけないなんてバカみたいな話、絶対に許さないんだから!!」 ――正義を掲げる「転生者」と悪であることを厭わない「英雄」は衝突する。 帝国には七人の始祖がいる。 彼らは長い年月を生き続け、帝国を危機から救い続ける運命を与えられている英雄だ。 物語が始まる百年前。 それは英雄たちの運命が変わる瞬間だった。 聖女が帝国を裏切った。 聖女は帝国の基礎となる魔方陣を狂わせ、その命を投げ捨てた。 聖女の裏切りにより与えられた平穏は百年後に幕を閉じる。 皇帝ミカエラ・レイチェルと交わされた契約により帝国に縛り付けられていた始祖たちの解放でもあった。 聖女の死から百年後。 十六歳の春、ガーナは聖女の転生者である可能性を告げられる。 聖女である可能性を誰にも打ち明けることができないまま、ガーナは日常を過ごすことを選んだのだが、それも長くはもたなかった。 帝国には危機が迫りつつあった。 その危機は瞬く間にガーナの日常を壊してしまう。 ※以前、公開していた作品のリメイク版です。 ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに投稿をしています。 ※他投稿サイトにて公開中の同作品に訂正を加えたものになります。
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