かつて栄華を極めた文明が滅び過酷な環境となった星で、人々は山のように巨大な塔の形をした迷宮都市「塚」で暮らしていた。 塚の外は昼夜で50度近く気温が変動する荒野であり、狂暴な原獣がうろつく。「成人」前のジョアンはまだ自由に行動できず、巨大な山のような迷宮都市――エルコ本塚で焦燥感に駆られなが過ごしていた。 ある花季の終わりの朝、十数年ぶりに荒野を渡る砂上船がエルコに到着した。 船員は北の街から運んできた珍しい物を塚の大広場で披露し、街の人たちに振る舞う。ジョアンの母親は豊かな北の街の様子に心惹かれていくが、ジョアン自身はエルコが――先輩探索者のクリフとコーリーが好きで、この塚を離れたくないと思っていた。
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