アトランティア。そこでは人間の生活を支援・補佐するために多くのアンドロイド『サード』が配置されている。 治安維持・道案内・移動手段の手配・諸手続き・医療補助など用途は多岐にわたる。 戦争により人口の減少をたどった人類を補助するための、文明再興支援システム『サード』。 円堂グループが開発した、人間の形をした汎用型アンドロイドで、世界中に配備され、減ってしまった人類の代わりに、たくさんの仕事を肩代わりして人類の快適のために貢献している。 アトランティアには、円堂グループの本社が構えられており、特にサードの配備が多く、得られるサービスもほかの国に比べて多い。 試験的に多くのアンドロイドも導入されており、街中にはまだ名前もない最先端のアンドロイドが新しいサービスを提供している。 そこでは、多くの人々が快適を手にし、わずらわしさから解放され、好きなように生き、好きなことをすることができる快適の都市となった。 仕事をしたいものは仕事をし、芸術したいものは芸術し、運動したいものは運動をする。 人間が人間らしく生きることを、サードはプログラム通り最大限サポートしていた。 一方で。 サードたちは、その膨大な情報収集能力を持って、ある個体を探していた。 個体の名は、『ゼロツー』。 ---いいかい? 『ゼロフォー』。君の役目は、『ゼロツー』の回収だ。 新しく生まれた個体。その個体は、『ゼロフォー』という名をもらった。 アンドロイドは、眼を開く。 外界の光刺激を調節し、天井を視界にとらえる。 ーーーおはよう、『ゼロフォー』。 与えられた使命を果たすため、この瞬間アンドロイドは自身こそが『ゼロフォー』であるという自覚を得た。
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