貧富の差が解決不能なまでに進行してしまった近未来の日本と世界。 地球上とは異なる異世界の発見に人々は久しぶりの希望を持てるかと思った。 だが、皆がユートピアと期待した異世界には想像を絶する現実が待ち受けていた。 この時代に平穏な日々をわずかに保っていたごく普通の少女、上総律子はふとしたきっかけで国家やそれを支配する層のどす黒い陰謀と現実に巻き込まれていく。 同時期、親からも学校からも見放されて生き地獄の生活を送る引きこもりの少年サトシは突然現れた女神から異世界を救うという使命を与えられてまるで異世界物のアニメのように異世界へと出発し、願ってもなかった異世界出世ライフを送れるようになったかに見えた。だがそれは現実世界の恐るべき実態を突き付けられる入り口に過ぎなかった。 やがて異世界と現実世界の真実を知ったサトシは、自らを陥れた権力へ戦いを挑んでいく・・・・・。 進むも地獄、退くも地獄。無理ゲーと化した現実というディストピアの中で人は自分のアイデンティティを守り通せるのか? 素朴な自分の価値観を守ろうとする純真な少女の命運は? 魂を売って栄華を手にした者が行きつく先とは? 社会不適合者とされた者が異世界で目にする現実に対してどのような選択肢をとるのか? 派閥や組織に入ることでしか人間は人間らしい権利を得ることはできないというのか? これは魂を売り渡さなかったばかりにどの陣営・派閥にも属することができず、己のアイデンティティをかけて、理不尽に抗う者の物語である。 異世界という場所にユートピアはあるのか?現実というディストピアに人は抗えるのか? 若者たちの心に憂いなき安寧は来るのか? ※本小説は、小説家になろう様、カクヨム様にも投稿しております。
読了目安時間:13時間31分
この作品を読む