2025年 日本 [日本政府は、16年ぶりとなる大幅な司法制度の改革を行う事を発表しました] 少しうわずった声で、女性アナウンサーが淡々とニュースを読み上げる。 ーー司法制度の改革。 ここまでは誰も気に留めようとしなかった。話題となったのは、その改革の内容。人々が口にする話題からSNSのトレンドまで、その制度は世界をも巻き込むほどの話題性を持つ内容だった。 人呼んで〈ハンムラビ法典〉。正式名称、「刑事事件における遺族・被害者への判決委任制度」。 刑事事件において、被害者及び遺族が取る行動は主に2つ。裁判あるいは示談。 しかしこの制度ができたことにより、合法的に加害者に「復讐」をすることが可能となった。 ただし、それに伴って浮き彫りとなる問題もある。 様々な場で、懸念点の議論や討論が交わされた。 ーーー「天秤を釣り合わせる」 人類にとって、最大かつ永遠の課題といえよう。その課題を粗方解決させるにあたって、警視庁と検察庁がタッグを組んだ。 改革と同時に生まれたのが、 〈刑事事件発生時緊急相談センター〉と〈刑事事件関係者相談窓口〉。 もし自分の家族が息をしていない状態で見つかったら。もし自分が他人に傷を負わせてしまったら。 それが「現実」となった時に頼れる、二つの相談窓口が発足した。 〈刑事事件関係者相談窓口〉では、カウンセラー随時募集中。15歳以上であれば誰でもスタッフ登録が可能。働き方改革により、リモートで、外で、家で、学校で、会社で、どこであっても働くことができるようになった。 そんな中、長らく成績No,1を誇っていた1人のカウンセラーが居た。 誕生日、不明。 住所、不明。 家族、不明。 交友関係、不明。 毛先を首元で遊ばせた、小洒落たウルフカットが特徴的な謎多き大学3年生。 板倉 諦 [いたくら てい] が紡ぎ織りなす、相談者との会話記録である。 あくまでこれは、「カウンセリング」なので、悪しからず。 〜〜〜 漫画にありそうな小説が書いてみたかったので。 基本は諦くん以外の一人称視点で進んでいきます(オムニバス)。 学生ゆえ、更新は不定期です。ご了承ください。 表紙画像描いてくださる方募集してます(コメント欄へ)。
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