テーマ:3お題フリー 南颯は母子家庭育ちの明るい高校二年生。家計の足しになるために、彼は校則違反のアルバイトをしていた。バイト先のカフェで、クラスメイトで無口無表情のイケメン・北楓と出会う。バイトを隠したい南と元ヤンを隠したい北──これは、秘密の共有者になった彼らの友情が、次第に初恋へと変化していく物語。 南と仲良くなった北は、同じカフェでアルバイトを始める。夏休みに入ると、インフルエンサーの女子高生が期間限定で短期アルバイトに入ってきた。そこで、彼女は北に一目惚れしてしまい、南に恋の応援を要請する。南は断れずに引き受けるが──自分の心が妙にチクチクするのを感じていた。 夏休み最終日、バイト先の面々と遊園地へ遊びに行くことになった。女子高生の恋を応援するために、北と彼女を二人っきりにする南。きっと彼女の告白は成功して、二人は恋人になるだろう──そこまで考えて、南は自身も北に恋をしていたことを自覚する。しかし、南には自分が幸せになっちゃいけない、と思い込んでいる呪いがあった。彼は、この恋心を殺すことを決意した。 その後、南は北を避けてしまうが……北に捕まり、問い詰められる。思わず「彼女にかまってやれよ」と言うと、「好きなやつがいるから断った」と話す北にキスをされ──南は北を突き飛ばす。 南には父親のDVから母親が守ってくれた過去があり、DVから母親を守れなかったことを悔いていた。「俺だけ幸せになっちゃいけないんだよ!」泣きながら叫ぶが、「何の為にお前の母さんはお前を守ったんだよ! お前に幸せになって欲しいからだろ!?」と言う北の言葉にハッとする。そして、南は自分が幸せになることを許した。 翌日、カフェでは、アルバイトの男子高校生二人の元気な接客の声が響いていた。
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