そう遠くも無い未来。ドライブレコーダーのように、一人ひとりが「クリッター」と呼ばれる互いにリアルタイムの録画を行う小型カメラを所有することによって、安全を代償に、今以上に肩身が狭く、緩やかな相互監視社会となっている日本。 映画好きの高校三年生、「青春を謳歌するイケてる女子」の総元伊澄と、「ガリ勉いい子ちゃん」の中野かずさは、ひょんな事から一緒に映画を撮る事になり、クリッター監視の中、誰にもバレずにギャフンと言わせるホラー映画を撮るため、受験勉強の合間に、映画製作に夢中になっていた。映画を撮り続けるうち、伊澄とかずさの間に相棒や友人以上の感情を互いに持ちはじめるのには時間は掛からなかった。 そんな中、事件が起きる。伊澄がスクールカースト上位者の男子からの告白を断り、伊澄とかずさに対してイジメ……「サイドキック」と呼ばれるクリッターを悪用した制裁を受ける事によって、学校中に二人の関係性が露わにされてしまったのだ。 映画製作どころか、不登校となり途方に暮れる伊澄に、かずさは「わたしにいい考えがあるの。最後にさ、みんなにギャフンと呼ばせる映画を撮ってみない?」と、ある提案をするのだった。 ※表紙のイラストは「みどうにこ」@midounikoのイラストです。 ※元はpixiv小説の「第二回百合文芸小説コンテスト」に投稿したものです。 ※どちらかと言えば、タテ読み推奨です。
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