蛍石の瞳
上月琴葉
現代/その他ファンタジー
短編
3話
6,202字
2020年11月18日更新
BOYSFANコンお題フリー参加作品。 緑に囲まれた清流沿いの町で静かに繰り広げられる透明な夏の香りのすこしだけ不思議な物語。 ――ある夏、親の都合で都会から引っ越してきて町に馴染めずに独りぼっちでいた涼は、神社で不思議な蛍石色の瞳を持つ青と出会い、夏休みを共にする。この出会いをきっかけに独りだった涼は優しい「青にい」という友人を得る。町を後にするとき、青にもらった森サンショウウオのぬいぐるみと小さな蛍石は彼の宝物となり、かけがえのない青との思い出の証として涼はずっと大事にしてきた。数年後、祖母の遺品整理のために再び3日間だけ町に戻ってきた涼は青と再会を果たす。涼と過ごすきらめくような夏の日々の中で、積み重ねてきた想いを抑えきれなくなった青は自らの持つ不思議な蛍石色の瞳の秘密を明かし、瞳が濁る前に想いを受け入れるかどうかを決めてほしいと告げ、涼にキスをして決断を迫り、3日目にかつて涼と交わしたある約束を果たす場所へと彼を連れていくことを秘密裏に決めた。一方で、再び青と再会して、共に日々を過ごしていく中で涼もまた青への想いに戸惑いながらも少しずつ自分が青に惹かれていることに気づく。高校生と大学生。友人という心地よい立ち位置を崩すことを互いに恐れながらもふたりは互いにそれぞれの想いを受け入れることを決める。最後の日、トンネルを抜けた約束の場所で、向日葵と空にだけ見守られたふたりだけの秘密の結婚式を行い、小さな約束を交わした涼は青との再会を誓って町を後にした。
読了目安時間:12分
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