叔父や叔母は後悔していないだろうか。僕のために稼ぐことを、ごはんを作ることを、休みには僕と密にかかわるということを。たまには思春期の僕に頭を抱えることもあるかもしれない。たいして思春期らしさを出してはいないつもりだけど、かえってそれに頭を抱えていることもあるかもしれない。僕にはわからないことがたくさんある。叔父と叔母にとっても、僕はわからない存在なのだろう。例えば、それ自体が、喜びだということはあるだろうか。一体、親とはどういうものだろうか。そういうものだろうか。僕がそんなことを考えるのは驕りだろうか。来年、僕は十六になる。あの家を出るかどうか、ということを、頻繁に考えるようになった。この機会を逃すと、次の機会は三年後までやってこない。勿論、誰一人として頼る親族は他にはいない。あの時、受け入れてくれたのは、叔父夫婦だけだったから。だから、いざとなれば一人で生きていくしかない。きっと、僕はここにいるというとことが、ひどく下手くそなのだと思う。無邪気に過ごすことも、何も知らない顔でいることも、ただ狡く生き続けることも、どれも僕にとっては難しい。――本文より 叔父を「大人の男性」と割り切ることもできず、「父親」として信頼することにも引け目を感じる。僕は彼をどのように好きなのだろう? わか っているんだ。一歩間違えれば、この関係性は崩壊してしまうだろう。両親の他界で叔父夫婦と暮らす「悠斗」は叔父との関係性に思い悩んでいた。叔父の席に座ることで想像する眼差し、同級生の早熟な言葉づかいやイントネーションのあざとさ、まるで生き物のように頻発する地震、それぞれに対して心は揺れ動き、悠斗の疑念は振幅を増していく。 書籍「片方だけおっぱい」「#裏アカ女子」をAmazonで発売中!
読了目安時間:21分
この作品を読む