ホワイトフェンリル、それは最強の魔獣である。 その牙は古代竜の喉笛を嚙みちぎり、その脚は一晩で数百キロを走破し、その頑強さはダイヤゴーレムにも引けを取らない。 そんな力の化身ともいえる伝説級の魔獣と契約を交わすことに成功した一族が存在した。 だが、その末裔ーービーストテイマーの少女であるアリシアには困りごとがあった。 「ちょっとアリシアちゃん。いい加減アレ何とかしてくれないかしら」 「すっ、すみません奥さん。しっかり言いつけますので」 「ほんと頼むわよ。毎晩アレじゃろくな睡眠もとれやしない」 「本当に、申し訳ございません。必ず、必ず何とか致しますので」 最強の魔獣に訪れた最大の敵、それは――痴呆であった。 数百年を生き延びた魔獣も、寄る年波には勝てやしない? 夜泣き、徘徊、物忘れ。 次々と襲い掛かるトラブルに、アリシアの胃は持つことが出来るのか⁉ 最強の魔獣は、今日の朝食を覚えていることが出来るのか⁉ 元最強の魔獣と初心者ビーストテイマーの少女が織りなす、涙あり、笑いありの冒険譚、いざここに開幕! 表紙画像:たっぴー@mihtd様
読了目安時間:3時間13分
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