「私はヒロインになんてなれない……」 日々の虚しさに悶々としながらも、ひたすら少女漫画のページを捲る安栗結梅。 引きこもり女子大生の彼女にとって、大好きな物語に縋る事が、唯一の救いだった。 元々自分に自信の無い彼女は、高校時代の出来事によって、人付き合いを苦手としている。 心機一転して自らを変えようとした大学でも、結局上手くはいかなかった。 そんな結梅の前に現れたのは、2次元の世界から3次元に迷い込んだ様な、ひとりのコスプレ男子。 大人気少女漫画『ご主人様は外面王子』の、ヒロインの相手役そのもの。 役作りまで完璧なコスプレ男子に、ただただ困惑する結梅だったが、すでに歯車は回り出していた。 コスプレを通じて深まる関係。 この二人の出逢いにより何人もの心が結び付き、そして時には絡まり合ってしまう。 それはある意味偶然であり、しかし彼女らにとっての必然でもあるから。 地味でパッとしない系ヒロインから始まる、青春群像恋愛劇。
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