画家の星野遊(26歳)は、友人の小山の紹介で建築家の三崎拓司(31歳)と出会う。まだまだ無名の画家の遊は、すでに名が売れ始めていた美男の拓司に一目惚れしてしまう。 片思いでもやもやしている日々、仕事の多忙さで体調を崩した遊は自宅のボロアパートで気を失ってしまい、駆け付けた拓司に病院に運ばれてしまう。 辛うじて助かった遊だったが、病院で拓司に「あのアパートは手抜き建設で住むのは危険、うちで暮らしなさい」と言われ、思わぬ共同生活が始まる。 ノンケの男に片思い、遊はドキドキしながらももどかしさで苦しむ。と、ある日、遊はとてもリアルで破廉恥な夢を見る。それは拓司とベッドでラブラブしている夢だった。そんな夢まで見るようになった遊は自分を恥じるが、それは本当に夢だったのか? 仕事で大きなチャンスが到来するが、もがき苦しむだけの遊。二人の間に入ってくるイケメンハーフガーデナーはオープンゲイで、拓司と寝たことがあると吐露。その頃には両思いになっていた遊は酷く動揺する。自分はお手軽な料理人で性処理係だったと思い、拓司と一緒にいる時に「しいたけ買い忘れた」と、真冬の雨の中、裸足で外に飛び出してしまうが、追いかけてきた拓司に助けられ、二人の誤解は解ける。 その後、余命宣告され、治療のために二人の家に同居するようになった拓司のいとこの凛子(19歳)。音大生で、将来有望なピアニストで、関西弁の明るい子だが、夢と病の狭間でピアノに取り組んでいくのを遊が献身的にサポートしていく。凛の情熱に触発され、遊は国際コンクールに参加することを決心する。時を同じくして拓司も国外の建設コンペに挑戦、凛子も国内のピアノコンクールにエントリーすることになった。同じ屋根の下、三人は必死で夢に挑んでいく。 これは、夢と希望と現実に揺れ動く星野遊の心を通し、本当の愛とは、人が生きるべき道とは、など、様々な答えを描き出す物語です。
読了目安時間:2時間44分
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