□作品紹介□ むかしむかしってほどじゃない、ほんのちょっと前。あるところに一人の女の子がいたんだ。 彼女は優しくて、賢くて、強い子だったけど、ひとつだけ大きな問題があった。そのお陰で、彼女にはずっと、友達といえる友達がいなかった。 ある日のことだった。隣の家の前に、一人の男の子が立ちつくしていた。いつもは見かけないから、多分、お父さんお母さんが家にいなかったか、鍵を忘れちゃったか、あるいはその両方なんだと思う。 迷った。話しかけてどうするんだ、とも思った。そんなことをしたってどうせ、とも思った。 それでも、彼女は話しかけた。手を差し伸べた。少年は今にも泣きそうな顔を必死に崩さないようにする。きっと相当心細かったんだろう。話しかけてよかった、そう思った。 それから彼女には一人の友達が出来た。なんの問題も起きない、幸せな関係。だけど、そんな時間はすぐに音を立てて壊れていった。 むかしむかしってほどじゃない、ほんのちょっと前。あるところに一人の女の子がいたんだ。 彼女は優しくて、賢くて、強い子だったけど、ひとつだけ大きな問題があった。そのお陰で、彼女にはずっと、友達といえる友達がいなかった。 だけど、そんなひとりぼっちの時も過ぎて、彼女は今、ちょっとだけ人とは違う、けれど大半はごく普通の人生を送っている。あの日のことは忘れて。これからもずっと。そのはずだった。 ある日、誰かが言ったんだ。世界を変えるのは意思の力だって。 これは、そんな意思の力で、どこにでも広がっている醜いセカイが、美しくなる。そんな御伽噺。 □更新について ・毎週火曜日0時更新を予定しております。 ・今のところ作品中盤までの掲載を予定中です。 ・掲載分以降の連載はカクヨム版をご確認ください。 □参考URL 『されど美しき僕らのセカイ』カクヨム版:https://kakuyomu.jp/works/1177354054892553203 (最終更新日:2020/02/09)