「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」 ――おーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!! テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士をしている。 『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を他の3人の師団長たちが作り、テレーズに言い寄ろうとする男をことごとく駆逐してきた。だが、そのことにテレーズは全く気づいていない……。単純に、自分がモテないからだと思っている。 お陰でこの歳になっても、恋愛経験はゼロだった。 ところが、テレーズを含めた師団長たちに転機が訪れる―― 新人訓練に、王弟のマクシムが潜入していたのだ。外遊から戻り、テレーズを一目みて気に入ったマクシムに、テレーズの周囲の外堀が埋められはじめる。いつの間にか女性騎士団が設立され、女性騎士団の団長に祭り上げられるテレーズ。その上、なぜかマクシムとは、全騎士団員公認の仲にされていて―― 突然、やんごとないお方に想われ戸惑うテレーズ。なかなか自分の気持ちがわからずにいた。だが、マクシムに付きまとう他国の王女の存在が、テレーズに本当の気持ちを気づかせることに―― しかし、マクシムとテレーズの間にある身分差が彼女を苦しめる……。 初めての恋に苦しみながらも、任務に励み続けるテレーズに訪れる結末とは―― アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛され、幸せになるお話です。
読了目安時間:1時間12分
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