バチクソに暗い

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  • ネフライトの背骨

    それは少年を救う為に。

    7,800

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    2021年11月10日更新

    隣人の少年 敷地に現れた見知らぬ少年 青年が目撃したのは自身と同じ世界の底辺、埃溜まりで起きる酷たらしい支配と救いのなさだった。誰もが見て見ぬふりをする、誰もが口だけ出して手を差し出しもしない。 這い出すきっかけを運良く手に入れられただけ。それを理解しているからこそ、少年を救わずにはいられなかった。この世界から少年を放り出すことが先にその世界を生き抜いた、自分自身の責務のように思えてもいた。 期限はほんの数日、残された時間で救わなければ自分がいなくなった後誰が少年が泣いていることに気付けるのか。 誰が搾取と消費に耐えて、少年が生きていることを知るのだろうか。 四日間、たった四日間の軌跡だった。 それは少年を救い出す為だけに与えられた時間―― 男が見つけたのは酷く傷付いた少年だった。 屋根も壁もない、男の敷地のビニールハウスで雨風を凌いでいた少年は挙動が不自然になるほど心を傷だらけにしていた。 思い出せない、出来るはずのことが出来ない、呼吸すらもままならない。 見過ごす選択が出来なかったのは、今自分自身が心を痛めていたからなのかもしれない。けれどこんなにも庇護欲が湧いたのはきっと、大事にされなかった大事なものを、少年に見立てていたこともあった――いつかの自分自身と重なる、大事なものから見えていた世界が、きっとこの通りだったのかもしれない。 自分が大事にしたもののように、この少年を救い、守りたかった。そうすることで自分の中の温みにいつまでも浸れるような気分だった。 少年の人生を知るまでは―― 青年と男、互いに誰かに救われた過去を持ち、それを誰かにも果たす時、二人の大人が一人の少年を救う為に過ごした日々。 そして、行き着いた安寧。 ※BOYSFANコン参加作・お題フリー ※暗い、痛いです。機能不全家族から少々暴力の表現がございます。

    • 暴力描写あり

    読了目安時間:2時間10分

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  • 自我の残滓

    自我はどこに置いているのか。

    26,100

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    2021年7月11日更新

    14年前、とある事件の被害者である少年が発見された。辛くも生還した少年は「他に被害者はいない」と告げ、捜査は進んだが未だ犯人は捕まらずに時は流れている。 ある日、青年となった彼の前に当時の事件を扱う刑事が現れた。 男は阿戸と名乗った。 事件に新展開があった為、改めて話を聞かせて欲しいと。 けれど青年が次に目覚めたのは、あの14年前の日々を暮らした場所とよく似ている場所だった。 そこには、阿戸だった男がいる。 男が口を開き、語る。数年間聞き慣れて、未だ忘れもしない言葉を。 「俺達はあの人の血で出来ている」 身に覚えもない事件から血属し続けている流れに飲まれ、「被害者」は明けた世界すらも侵されたまま――他者に侵された自我の残滓はどこにあるのか。 ※縦組読みを意識して行間を詰めております。 ※同性同士による行為、同性愛表現、暴力的な表現が含まれます。重く、痛々しい内容です。全て、またはどれかでも苦手な方はお引き返し下さい。 ※この作品は法律・法令に反する行為をけして容認・推奨するものではありません。フィクションです、作り物であることをお忘れなきようお願い致します。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:1時間33分

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  • 海に揺蕩う骨と月

    なにをどうしたら、こうはならなかったのか

    13,800

    5


    2020年10月4日更新

    悪夢のような世界だった。目に見えるもの耳に聞こえるもの、時には口にするものすら毒のようだった。 なにをどうしたらこうはならなかったのか。 いつ、どう考えても望むような世界には繋がりもしなかった。 青年は与えられなかったものの数々のかわりに得たものを失った。本当の意味で、自身の手中から。 与えられなかったものを幾ら探しても転がってもいなかった。得られたものは常にたったひとつ、それだけをまた、失った。 必死で生きた。必死で。 世界は生まれから最後まで自分達をまるでまともに生かしてもくれやしなかった。 行き着いた海が全て終わらせてくれるのだと、最後にそう信じていた。 青年は自身の無力の所為で欲しかったものを失った。 いつかきっと手に入るのだと叶うのだと、誰もが見放したものも握り締め続けていた。 しかし、結果を受け止めて遂に知った。どれだけやり尽くしても、けして手に入ることはなかったのだと。 こんなにも尽くしていても、一度たりとも自分に光が当たったこともなかったのだと。 こんなにも、こんなにも覚悟していたのに。 もう、誰も想いやしない。信頼も信用も、血筋も世界も。 閉じ籠もってしまえばもうなににも傷付くこともないと信じていた。 〝なにをどうしたら、こうはならなかったのか〟 絶望からも落ちた二人の青年が出会い、抉れた傷に苦しみ、藻掻きながらも互いを掴んで生きる世界。 二人だけの家。静かな土地、静かな家、昏い森に月明かりと荒れた海。 ここにはそれだけだった。 ※BOYSFANコン参加、お題フリー ※BL/メンズラブ ※▲の回には性表現がございます。 ※とても暗くシリアスです、苦手な方はご注意下さい。 ※けして穏やかな内容ではありません。トラウマものが苦手な方はお気を付け下さい。

    • 残酷描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:1時間39分

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