※お陰様でHJ小説大賞2021後期、受賞と相成りました! ※本作はカクヨムでも公開しております。 異世界『フェルナード』。 剣と魔法の世界という言葉がよく似合うその世界には、噂になっているある冒険者がいた。 『忘れられ師《ロスト・ネーマー》』 その者と共に在ればパーティーは数々の成功を収めるが、その者をパーティーから追放すれば、一気に没落する。 まことしやかに囁かれるそんな噂。 しかし、幾つかのパーティーがそれを経験するものの、誰もその名前を覚えている者はいなかった。 そして、魔王を倒した聖勇女パーティーもまた、忘れられ師《ロスト・ネーマー》と共に旅をし、その洗礼を浴びたのではと噂されているのだが。 実際彼女達は気づいていなかった。 共にパーティーとして行動していた青年、武芸者のカズトこそ、陰ながら彼女達に力を貸していた、忘れられ師《ロスト・ネーマー》であった事を。 ──魔王との決戦直前。 聖勇女パーティーより、優しき理由で追放されたカズトは、異世界転移の際に絆の女神より授かった、力の代償となる呪いによって、彼女達の記憶から消え去った。 その後、彼の存在なしでも聖勇女パーティーは魔王を無事討伐したのだが……。 それから半年後。 ひとり冒険者として旅を続けていたカズトがマルベルの街にたどり着いた時、冒険者ギルドに貼られていたありえないクエストの存在を知る。 探しているのは忘れられ師《ロスト・ネーマー》。 そして依頼主は聖勇女パーティーの一人、カズトもよく知る相手、古龍術師のルッテ。 依頼内容すら分からないクエスト。 そのおかしなクエストに、カズトが手を出した時。彼は再び聖勇女パーティーとの数奇な運命を辿って行く──。 記憶から忘れ去られし男。 忘れられ師《ロスト・ネーマー》であるカズトと、そんな彼を追放し、彼との記憶を失ったたはずの聖勇女パーティーの面々。 奇しくも交わってしまった彼等は、一体どんな試練に立ち向かい、どのような未来を歩むのか。 聖勇女パーティーとの絆を信じ、仲間と思い続けた男の、絆と記憶の物語。今ここに開幕!
読了目安時間:19時間43分
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