カトリーナはおでこを打ち、前世を思い出す。 この世界は前世、読んでいた小説の世界。この世界で自分は王子に婚約破棄される。だったら好きならないと、心に決めたカトリーナだった。しかし王子との顔見せの日、あんなに好きにならないと決めていたのに、王子に一目惚れをしてしまう。 王子が好きで、王子しか見えないカトリーナ。しかしヒロインの登場で王子の心は奪われて、最後の日に婚約破棄されてしまう。 傷付いたカトリーナは王子とヒロインを憎み。彼らの結婚式後、舞踏会で二人を毒殺すら計画を立てる。それは見事に成功した。 そしてカトリーナは満足して、王子の友の騎士の剣によって刺されて死ぬ。 高笑いをしながら、これで終わったと思っていた人生が……再び、彼女の時間が巻き戻る。 目を覚ますと、子供の頃に戻っていたカトリーナ。 そして、剣が刺さった所、胸の中央に黒い薔薇の花が咲いていた。薔薇に驚いていると頭の中に声が聞こえた。 その声の主は自分を神と言い、退屈凌ぎにカトリーナを生きかえらしたと言う。 二度目の人生も同じになるか、それとも別の道を行くのか見たくなったと神は言う。 しかし前回と同様に人を殺めれば薔薇の棘が胸に刺さり、未来永劫、転生出来ず漆黒の闇、地獄に落ちると神は言う。 そして、カトリーナと同じ黒薔薇を持ち、同じ運命の人がいる。 その人の事もちゃんと、考えるようにと神は言った。 カトリーナはヒロインにはどうせ勝てない、それなら今度は誰も恨まない道を選ぶと心に誓った。
読了目安時間:12分
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