司法試験、3年連続不合格。 人生崖っぷちの29歳フリーター、近江 憲(おうみ まもる)。 会社員時代のトラウマも重なり、すっかり自信を喪失させていた。 しかしある日、一人の美女と出会うことで、彼の日常は一変する。 「無差別殺人の容疑で逮捕します」 彼女の放った一言は近江を絶望の淵に叩き落す。 そして、彼が連れて行かれた先は……。 平行世界。 それは自分自身のもう一つの〝可能性〟。 近江は彼女とともに、各世界線でトラブルに見舞われるもう一人の自分に、付け焼刃とも言える法律知識を活かし、解決策を提示していく。 「ロリコン盗撮おじさん!」 「童貞のクセに……」 名誉棄損に等しい彼女の軽口に振り回されながら、彼は様々な自分の〝可能性〟と向き合い、自身を見つめ直していく。 世界線の秩序を守る機構を知ったものに与えられる特典とは? 近江が抱えるトラウマとは? そして、彼女の本当の正体は? 世界線旅行を通じて、罪や罪悪感について考える禅問答型ファンタジー。
読了目安時間:3時間54分
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