アンドロイドの普及が進み、アンドロイドが『第二の人類』とまで呼ばれる域に至った近未来に、『響 恭平』の元にやって来たアンドロイドの『アミィ』。 アミィは表裏のない素直な性格で、やや気弱で真面目すぎるところはあれど、主人に与えられたメイドとしての役割を果たすために日々奮闘する。 しかし、そんな意気込みとは裏腹に、なぜか失敗の連続で、アミィの中に徐々に自責の念が積もっていく。 恭平はアミィが気楽に仕事に臨めるようにと、そんなアミィを強く咎めることはなかったが、そんな恭平の気遣いは生真面目な性格のアミィには逆効果だった。 そして、自責の念が臨界点まで達したアミィは、ついに恭平に対して思いの丈を爆発させてしまう。そんなアミィを見て、恭平は自分の配慮がいかに軽薄だったのかを痛感する。 だが、それをきっかけとなって、恭平にメイドの主人としての自覚が芽生え、結果としてお互いを再認識することとなり、心機一転、改めて主人とメイドとしての共同生活をスタートさせる。 そんななか、とあるいざこざが引き金となり、アミィの中で、もうひとりのアミィが目を覚ます。 そのアミィは大胆不敵にして徹底したリアリストで、メイドの仕事とは縁遠い卓越した戦闘技術と相手の精神を揺さぶる話術、そして、筋が通らない事柄を見逃せない熱い義侠心を備え持っていた。 時には温厚で控えめ、時には好戦的で現実主義というアンバランスな性格を宿したアミィは、様々な人間やアンドロイドと触れ合いながら様々な出来事を経験し、やがては主人とメイドという枠を越え、恭平と共に道ならぬ険しい恋路を歩んでいく。 そして、その恋路のあらゆる箇所に横たわる二人目のアミィの出生の謎をきっかけに、恭平達は世間を揺るがす大事件へと巻き込まれ、立ち向かい、出会いと別れを繰り返す。 その事件の裏に幾度も登場する二人の男と一人の女。その三人の因縁はあらゆる事象を巻き込みながら交錯し、やがて二人目のアミィの存在そのものへと集約されていく。 この物語は、人工知能が進化を重ねた未来に於いて起こるであろう、人間と人工知能の共存によって生じる正の側面と負の側面を、二人の愛を通じて描いた物語である。
読了目安時間:2時間40分
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