建国歴12000年のメルへニカ王国。世界では相変わらずベースボールが圧倒的人気を博していた。 メルへニカリーグベースボール、通称メルリーグが創設されてから2000年目となる節目のシーズンを終えたこの年の年末、メルへニカの首都アウグストでは、ウィトゲンシュタイン家が建国千年紀に加え、メルリーグ誕生2000年を祝うことを兼ねた千年記念パーティが行われていた。 そこに老年期を迎えたオリュンポリティア・ペンギンズの元監督、ブレッド・ベイカーが招待された。ブレッドを招待したのは、かつて低迷期から黄金期にかけてペンギンズを支えたウィトゲンシュタイン家の分家、バロン家当主、エステルハージートルタ・バロン・ウィトゲンシュタインの曾孫にして、ウィトゲンシュタイン本家に在籍しているプリンツレゲンテントルテ・ウィトゲンシュタインであった。 世間話を繰り返す内、ブレッドはプリンツがエステルの偉大な功績を知らなかったことに驚愕する。 ブレッドはエステルが持っていた記念のボールをプリンツから譲られ、何らかの意図を感じながらも、エステルの思い出が詰まった記念のボールをその手に持ち、自らの若年期を鮮明に思い返すのであった。 他のサイトにも掲載しています。
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