ピカンこと井坂光一は工学部の大学1年生。一浪したので現在は19歳だ。高校では美術部に所属していた。大学でも美術サークルに参加したが、物足りず、美術研究所に通うことにした。そこで高校時代に美術部で一緒だった田中真衣(19歳)と再会する。真衣は美大の2年生になっていた。 美術研究所には杉崎渉(27歳)がいた。彼は修行僧のように、日々絵画制作に励んでいた。いっぽう、企画個展で絵を売っている謎の壮年画家も登場。 真衣は絵画への燃えるような闘志を抱いていた。また、絵画修行僧とも言えるような杉崎渉、謎の壮年画家、そういう仲間とともに、光一の美術への熱意はどんどん大きくなっていく。 自分の将来の方向も決めなければならない。絵ばかり描いているわけにもいかない。しかし、現代画壇の問題点をきっかけに、古代彫刻から現代アートに到る深くて広い美術の森のなかに迷い込んでいく自分を止めることができない。 真なるアートとは? 実際の古典絵画図版を挿みながら井坂光一の格闘が始まっている。 ちなみに、申し訳ないが、この小説には殺人も誘拐も強盗もない。
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