ある日、ラーメン好きの高校生、鈴池伸一に、同じクラスの大泉弥生が声をかけてきた。 「鈴池くんって、ラーメンに詳しいんだよね? 仲のいいラーメン屋さんっている? よかったら紹介して欲しいんだけど」 弥生の目的は、自分の姉が経営するラーメン屋にお客さんが入らず、ピンチなので、人気のあるラーメンのつくり方を教えて欲しいというものだった。で、紹介してもらったラーメン屋の店主が笑って言う。 「だったら伸一くんに教わるといいよ。この店の売れているメニュー、ほとんど伸一くんが考えたものだから」 ということで、鈴池伸一が、大泉弥生の姉の、大泉皐月が経営するラーメン屋をテコ入れすることに。 「味以前の経営戦略として、チラシでお客さんをひきつけて、ポイントカードで強制的にリピーター化してもらいます」 「それってあざとい気がして」 「そういう言い方もできますけど、やらないのは愚かしいことなんです。それから味のアレンジですけど、いろいろ考えてきました。スープの試飲をしてもらえますか」 「あ、おいしい」 「これは、実はこれを使ったんですよ――」 次々にラーメンスープの味を向上化させる鈴池伸一。結果、店は大繁盛の大成功を収めた。 そしてべつの日。 「私と付き合って」 いきなり大泉弥生に告白される鈴池伸一。 「俺、そういうの、よくわからないんだけど」 「じゃ、今度は私がいろいろ教えてあげるわね。まずは告白にOKするのよ」 鈴池伸一のラーメン好き人生は、これから違う方向へ転がっていくことになりそうだった。 この話は最後まで書き上がっています。全62話。エタりません。
読了目安時間:3時間54分
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