『このアンドロイドは重大なバグを抱えている可能性があります。 なお、本アンドロイド購入後に、バグが原因で返品をご希望されたお客様には、保障として新品と同等の金額をお支払い致します』 ◇ 仕事や家事を、アンドロイドが人間の代わりに行うことも珍しくなくなった近未来の日本。 事故によって両親も、将来の夢も失ってしまった子安咲那は、退院してからも学校にも行かずに空っぽな日々を過ごしていた。 そんなある日、咲那はある理由からアンドロイドを購入するため、とある企業のホームページを見ていた。 そこで咲那は、商品として売られている中に、次のような警告文の書かれたアンドロイドを見つける。 『このアンドロイドは重大なバグを抱えている可能性があります』と。 元々アンドロイドが欲しくて買おうとしている訳では無かった咲那。バグが理由なのか非常に安価なこともあってそのアンドロイドが購入することに決めた。 こうして彼女と重大なバグを抱えたアンドロイドの一ヶ月間が始まるのであった。 ◇ なお、本作に登場する『ロボット工学三原則』はアイザック・アシモフ作『われはロボット』からの出典です。 その全文は、以下の通りです。 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。 また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。 ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、 自己をまもらなければならない。 (出典:アイザック・アシモフ『われはロボット』小尾芙佐訳、早川書房)
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