ある日を境に、異世界へ召喚された魔王を討伐する宿命を背負った勇者パーティの一人、陸宮灰都《りくみやはいと》。 他の三人が勇者、回復術師《プリースト》、騎士《タンク》と正義の味方である役職になる中、彼だけは暗殺者《アサシン》であった。 そのことに不満を抱きつつも、受け入れるしかない現状を彼は容認し仲間と共に見事魔王討伐に成功した、はずだった。 しかし、魔王の魂は勇者の身体へと移り勇者は勇者ではなくなり、仲間は魔王に特殊な洗脳を施されてしまう。 対抗しようとするも呆気なく敗北し、表面上国を救った英雄である勇者に歯向かった罪として彼は牢屋に投獄される。そして、反逆者の名目を置かれてしまう。 魔王が今も健在であるのは彼しか知らない。だから、彼がやらなければいけない。 強い覚悟と仲間を助けたいという意志を持って、暗殺者は再び立ち向かう。救おうとしていた国民に糾弾され、かつての仲間に罵倒、軽蔑されて、冷たい目線を向けられても。 そう、暗殺者は忘れ去られた。彼がこの世界で存在した証はすべて殺されてしまって、もう何処を探しても何もない。 しかし、その心までは殺せない。 一から、彼は世界を救うことを決めた。