とある地方都市のショッピングモール内に配置されている清掃部門の責任者補佐である市村祐次は、連日勤務とサービス残業が当たり前の過酷な労働条件の中、日々を過ごしている。 唯一の救いであり癒しであるのは、同じモール内を警備する一つ年下の木村誠也の存在だった。 別の県にある本社から長期出張扱いの祐次は、立ち上げてから軌道に乗るまで現場でスタッフを教育するのが本来の仕事である。だがスタッフが揃わず次第にサービスの質が落ちていく中、戦友とも言える部下の女性スタッフ水上と穴を埋めては取り繕っていた。このままでは近い内に破綻する であろうシステムも、他の現場が上手く回っているせいか上司も本社も気に掛けてはくれない。 出勤の度顔を合わせては雑談に興じ、何度も突然の仕事で約束をキャンセルされても食事に誘い続ける誠也のお陰でどうにかぎりぎり祐次は踏み留まっていた。 そんなある日、ついに労働環境について契約先から指摘され、突然に出来た休日に誠也と祐次は飲みに出掛けた。 誠也にキスをされて気持ちを告げられ動転した祐次は、その時「友達になるつもりで傍に居たんじゃない」と言われて、それを自分は友人以下の存在なのだと言われたと解釈して落ち込む。 翌日からあからさまに祐次を避け続ける誠也の態度に傷付き、ストレスでついに作業中に倒れてしまう。その時駆けつけたのは誠也だったが、殆ど意識を失っていた祐次は煙草と香水の匂いで他の人だと誤解する。 知らない土地で仕事に明け暮れる祐次にとっての友人は誠也にとっての友人と重みが違うことに、水上の言葉によってようやく気付く誠也。しかし二人の仲は戻らないまま、暴漢から女子高生を守り誠也は傷を負った。その現場跡を見て、もう諦めようとしていた祐次は誠也の元へ走り、改めて気持ちを伝え合い二人は恋人になるのだった。 警備員×清掃員 二十代カプ 他所にて完結済 【女性も出てきますがメンズラヴです。くっつくまでずっとしんどいかもしれません。苦手な方はご遠慮ください】 テーマ[お題フリー]
読了目安時間:1時間18分
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