皇歴三〇〇〇年 八月三一日 八百万の神々の転生体『神代』を育成する天原学園を擁する南海の孤島『天原島』に、一人の謎多き少年が降り立った。 少年の名は夜堂司。 港から学生寮へ向かった司は、そこで一人の少女と衝撃的な出会いを果たすことになる。 「なんで褒めたのに斬りかかってくるんだ!?」 「全裸の不審者に褒められて喜ぶ女がいてたまるかっ!」 少女の名は雨水風花。 嬉し恥ずかし不慮の事故で互いの裸を目撃してしまった二人はどったんばったん大騒ぎの末、学園のルールに則り決闘試合で部屋の居住権を決めることになり……。 「どうだ、変身ヒーローみたいでカッコイイだろ」 「ハッ、悪の怪人の方が似合うんじゃないのか」 「それを言っちゃお終いよ」 己が身に神気を宿す彼ら神代は、神気をそれぞれ固有の道具へと具象化させる力を持つ。 それこそが神器《じんき》。生きとし生ける者すべての仇敵たる禍ッ神《まがつかみ》を倒しうる唯一の武器である。 だが、司のそれは神器と呼ぶにはあまりにも禍々しい漆黒の全身鎧だった。 「夜堂薊。俺の父親────俺と母さんを殺した男だ」 「殺したいほど憎かったんだ。大好きだった母様を殺した姉が。でも、私の想いはいつの間にかすり替わっていた。私は本当に母様が好きだったのか? 私は……私は……っ!」 国の暗部に蠢く夜堂家の影。 司と風花、二人が抱える過去の因縁が交差するとき、物語は動き出す。